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2009.03.05 *Thu

疳の虫 虫の知らせ

※駄作ではありますが、日和小春が挿絵を描かせていただきました。→

 その時まで、桐花は上機嫌だったのだ。
 修学院の近くの小さなお社で夏祭りがあったので、金魚さんの浴衣を着て、片手をエクルーにもう片方をイズミにつないでもらって、ぶうん、と大きく揺らしてもらってきゃっきゃと声を立てて笑っていた。

「りんごのあめさん、いいなー」
「ぱしゃんぱしゃん、かあーいいですねー」

 あどけなくねだっては、なけなしの3つ子の小遣いを巻き上げている。しかし、3つ子だって自分たちの下に兄弟がいないので、甘えられるのがうれしくてたまらない。

「今度は兄ちゃんが、ほおいほおい、してやろうか」
「やー。みーちゃがいいの。ぶうんぶうん、なの!」
 なかなかどうして、振り回されている。

 3つ子はスオミが縫ってくれた、トンボ柄の揃いの浴衣を来ていた。ついでにアルスも浴衣を縫ってもらったが、なぜかナマズ柄だった。
「いいの? 本当にこれで?」
 スオミは念を押したが、見立ててきた凛はぜったいこれが先生の好みだ、と主張したのだ。

「ぱしゃん、しゃん、しゃん。あかいの、あおいの、きいろいのー」
 水の入ったよーよーが気に入ったらしい。きりは飽きずに手でついて歌っている。


「あれ、そのコがくるりんちょの妹ー? かーいいじゃん。兄ちゃんに似なくてよかったねえー」
 手にどっさり焼き鳥、おでん、たこ焼き、ステーキ焼きを抱えて、もごもご声をかけてきたのは……

「九重! どうしたんだ、今日は地面を歩いてるじゃん!」
「へんな感心の仕方しないでよ、くるりんちょ」
「だって九重、圧倒的に天井から下がってる時間の方が長いじゃん」
 エクルーがあいさつしている影で、桐花はイズミの手をぎゅっと握って震えていた。

「よ、桐花ちゃん。兄ちゃんみたいな人でなしの女たらしになっちゃだめだおー?」
 そうニヤニヤしながら、ひょいっと身体をかがめた九重が顔を覗き込んだとたん。

 びええええええええええ

 それこそ、火がついたように桐花が泣き出した。九重のひざにぎゅうっとしがみついて、わんわん泣いている。

「だめよう、だめようー。かかしゃー、だめようー。しんじゃだめなのようー。いやようー。かかしゃー」
「……きりちゃん? あたしはかかしゃじゃないよ?」
 勢いをそがれた九重が、戸惑いながら桐花の背中をなでている。
「だめようー。しなないでー、かかしゃー。いやよう、いやようー」

 両親がそろって死んだときにも泣かなかった子が、わんわん泣いている。3つ子とアルス先生はもらい泣きしてしまった。
「何か思い出したのかなあ。ここちゃんもまっすぐできれいな髪だもんねえ」

 桐花がどうしても離れないので、九重は仕方なく戦利品を3つ子に譲って、乳児を胸に抱き上げた。桐花はかなり長い間むずかった挙句、抱っこされたまま眠ってしまった。

「ごめん、重いだろ?」
「いーやー? 軽いもんよ。赤ちゃんって熱いもんなのねえ」

 珍しく両手が空いているエクルーの腕を、イズミがぎゅっと握る。そのイズミにエクルーもそっとうなずく。2人とも見えてしまった。桐花の見たものが。
 九重は片眉をきゅっと下げて、珍しく照れたような顔をして見せた。

……知ってるんだな。じゃあ、もう何もいうまい。


 サクヤはよく言ってた。
”未来って決まったものじゃない。夢はただの予告。じゃなきゃ、変えられない未来をただ見せられるだけなんて……ひどすぎるじゃない。何のために、私たち星読みが苦労してるのだか”

 自分に言い聞かせていただけかもしれない。でも、サクヤは繰り返し、そう言ってた。
”未来は変えられる”

 エクルーはイズミと顔を見合わせて、お互いにうなづいた。
 何もしないでなんていられない。まだきっと何か手がある。
COMMENT : 4  [EDIT] [TOP]

COMMENT

きりちゃ…
凛くん、紫ちゃん、頑張ってね。脳味噌だけは優秀な一家も協力しますから。

しかしナマズ…
ここでもネタになるなぁ、アルス…ピエロの道を極めてくれ(笑)
2009/03/05(木) 13:08:05 | URL | 香月 #- [Edit
きりちゃああああっ
ごめんねごめんね九重が泣かしちゃったんだね、ごめんねきりちゃあああっ(抱きしめてわんわん泣く)
もうっ九重ったら!! きりちゃを泣かせてなにやってんのお馬鹿!!(←)

あ、ベルサウルスご一家、ぜひともご協力お願いしますーv

きりちゃあああ…ほんとうに、ごめんねえ…ありがとう…っえぐえぐ。
未来、見ちゃったんだね。…すごい惨い死に方(だった設定)だから、怖かったよね;;

ヴァルさん、素敵なお話ありがとうございました…涙
「お話」のカテゴリー増やしておきますね^^v
2009/03/05(木) 19:33:32 | URL | 小春 #- [Edit
初小説なのか
そういえば、このブログでは小説載せたことばかったんだよね。つい……。
九重ちゃんを助けたくって、でもどこに載せたらいいかわからなくって。
作文してコピペじゃなく、ここの枠に一発書きで投稿しちゃいました。
『賢者の石』にも再録した方がいいかな?
2009/03/06(金) 19:26:28 | URL | ヴァル #AaIT8m4I [Edit
うーん…
ありがとうございますヴァルさん…(>_<);;
ここアルバム用のブログですけれど…短編くらいなら載せてもいいと思います♪
小説中心の賢者の石にも再録した方が、読者様が詠みやすいかも^^
2009/03/06(金) 19:30:42 | URL | 小春 #- [Edit

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  +谷地田ヴァルさん+
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  ★春祭り‥//////
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  +梧 香月さん+
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  ★春祭り‥









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